2016年3月17日木曜日

茶碗







<省略>






「それ、君が、犬のキャラクターだから"ちゃわん"って言ったの?」

「なんだよ!犬のキャラクターって!だとしたら、ちゃわんわん、って言うわ!」

マグカップを手に取り、中身を覗き込むと、そこには犬のキャラクターの顔があった。

「あっ、ちゃわんわん、だわん」

私は言い直した。

たしかに

「たしかに。」

私はこの便利な言葉を使って全く興味のない話に、さぞよく聞き、考えたかのような返事をした。

「どこらへんが、たしかにだった?」

と聞かれたら本当に困るが、相手方は予想外な事を聞いてきた。

「えっ?たしかに、って、お前がカニのキャラクターだから、それでたしカニ、って言ったの?」

「カニのキャラクターじゃねえよ」

「だとしたら、たしかにカニになるからね」

「語尾のカニを引いて、たし、だけの意味はなんだと思ってんだよ」

以上のツッコミのうちどれを先に言うべきか難しい。
それで何も言い返せず、ふと横の窓ガラスを見ると、そこに映るはずの私の顔はカニのキャラクターのようだったのだ。

「あっごめん、たしかにカニ、カニ」