「たしかに。」
私はこの便利な言葉を使って全く興味のない話に、さぞよく聞き、考えたかのような返事をした。
「どこらへんが、たしかにだった?」
と聞かれたら本当に困るが、相手方は予想外な事を聞いてきた。
「えっ?たしかに、って、お前がカニのキャラクターだから、それでたしカニ、って言ったの?」
「カニのキャラクターじゃねえよ」
「だとしたら、たしかにカニになるからね」
「語尾のカニを引いて、たし、だけの意味はなんだと思ってんだよ」
以上のツッコミのうちどれを先に言うべきか難しい。
それで何も言い返せず、ふと横の窓ガラスを見ると、そこに映るはずの私の顔はカニのキャラクターのようだったのだ。
「あっごめん、たしかにカニ、カニ」