2015年5月22日金曜日

電車にて

正面に座ったのは面構えだけで不愉快な男だったというのに、その男はまるでそれが恥ずべき行為ではないかのように指を鼻に突っ込みはじめた。そして親指と人差し指で何かを転がし始めた。凝視すれば、おそらく私が想像した通りのものが確認できただろうが、このクソ野郎のそれの色とか見てしまったら、口に含んだばかりのコーヒーどころか、胃の中のものまで吐き出しそうな予感がして、とっさに視線をそらした。