中野駅前から早稲田通りを高円寺方面へ歩いてると警察官の自転車に対する執拗なまでの性癖が健全な市民のつかの間の自由時間を奪っている様子をもう3カ所以上は通り過ぎた。
彼らは何の変哲もない自転車に乗るこれまた何の変哲もない若い男を当たり前のようにサドルから降ろさせた。
そして舐め回すように自転車を物色し、見えずらいところは懐中電灯を使ってまで調べ、最後にその製造ナンバーを無線で読み上げ、すぐさま独自のネットワークでその自転車がまだ購入可能かどうかをリサーチしてはeBayのオークションでだって落札するつもりなのだ。
彼らのおめがねに適う自転車かどうかが問題だった。
だから流通しまくっている自転車に乗っていれば止められることはないだろう。
お母さんがかつて乗っていた自転車なんて気をつけろ、ヴィンテージものだ。
それにしても昨晩は多かった。
誰かが「大事な自転車」をなくしたのだろうか。
大事な誰かがしょうもない自転車をなくしたのかもしれない。
人々に平和の平等な分配のために同じく配られる容疑。
それが公共の福祉aka自転車泥棒の容疑だ。
そういうわけで我々には絶えず「自転車泥棒の容疑」がかかっている。
生まれた瞬間から。
Aこないだ自転車乗ってたら警察官に止められてさ
Bおお、どうした
Aなんかさ、自転車にすごい興味ある警察官みたいでさ
もう舐め回すように見てさ、仲間に型番みたいなの教えてさ、あれ今度同じの買うつもりですよ
B違うよ、本当にその自転車の持ち主かうかを調べてるんだよ
Aえ?どういうこと?おれのでしょ、どういうこと?
Bそうやってみんなの自転車を調べてんだよ
Aみんなに自転車泥棒の容疑がかかってるってこと?
B大げさだけどな、
A一億総自転車泥棒の容疑者だ
Bまあ、そういうことになるけど!
Aそんなふうに容疑かけたらきりないけどね
Bなんで?
A例えばその自転車乗ってるときに着てたダウンジャケットもおれのかどうか調べないと
Bいや、それはいいんじゃないのやらなくて、ダウンジャケット盗まれることないもん
Aないことないでしょ、
Bまあ、どこかでちょっと脱いだときとか、
Aそうそう、ちょっとコンビニの前にとめといたらさ
Bとめとくってなんだよ、ダウンジャケットとめとくなんていわない
Aああ、ダウンしといたときに
Bなんだそれ聞いた事ないわ、ダウンジャケットだからダウンて
いやなんでもいいけど、コンビニに着て入っていいから
A盗難ジャケットですよ
B新しい言葉つくるな
Aあと犬とかも
Bは?
A散歩させてる犬も持ち主かどうか調べないと
Bはたして人の犬盗んで散歩させる人なんているのかね?
Aちょっと歩いてて便利だからって持っていっちゃってね
B便利ってことはないでしょ、むしろ面倒でしょ
Aいや、引っ張ってもらえるからね
Bあれ、別に犬にひっぱってもらってラクってことないからね!
というか自転車は実際に盗難が多いから調べてるんですよ
Aというか、盗まれてる奴に腹立ってきたね、そいつらが盗まれなければ、おれも容疑者にならずに済むわけじゃん
だから逆にするべきだね
B逆?
A自転車盗られたやつを捕まえるんですよ
Bなんでだよ!いいかげんにしろ
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