2013年11月7日木曜日

くまのバーリー

今日もバーリーはどこへ行くでもなく、うろうろ、うろうろとしていました。 
一歩一歩、雑木林の湿った土の上をずっしりと跡をつけ、ただただ進むのでした。 
バーリーはどこへ行くでもないのに、まるで行き先があるかのように前だけを見ていました。 
目の前を飛ぶ虫にはまるで無関心で、それはもしかすると見えていないのかもしれませんでした。 
次第に川の音が聞こえてきました。 
バーリーはそのまま川の方へと進みました。 
足下が土から石に変わったせいか、足下が少し滑りましたが、バーリーはな
んの変わりもなくひたすらまっすぐを見つめ進みました。 
バーリーには人間のように、滑って恥ずかしいとかそういう感情がないのでしょう。 
「ズバシャシャーン」 
バーリーはそまままの流れで、一瞬の心構えもなく、川の中へ入っていきました。 
すると、川の中でのバーリーは少し、ワイルドな動きをしました。 
バーリーなりに水中という事にテンションが上がったのでしょう。 
いや、もしかすると、水中に入るつもりなどなかったのにもかかわらず、いつもと違う感じの状況に陥り、言葉にならないような、人間で言うならば「冷たい」という驚きかもしれません。 
なんらかのタイミングでバーリーは川から出ました。 
どこへ行くでもないのに、それなりに「もう川の中は結構だ」そう思ったのでしょうか。知りませんが。 
再び、木の生い茂った少し暗い林の中へと進みました。 
途中、くまのヘンリーが遠くにいるのをバーリーが確認したかはわかりませんが、バーリーは急に進路を右に変えました。 
ヘンリーのことが嫌いとかそういう事ではありませんでした。 
というより、目の前の生き物が、ヘンリーだという認識はバーリーにはありません。 
すると今度はくまのエイミーとその息子が向こうからやってるのが見えました。 
道は一本しかありませんでした。 
エイミーはバーリーに気がつき足を止めました。 
もちろんエイミーにも目の前のやつがバーリーだという認識もなければ、
バーリーの方にもエイミーだという認識はありません。 
お互いに「何か動くものが正面にいる」くらいには思う所があったのか、生き物としてしばらく見つめ合っていました。 
するとバーリーが「グルルグ」みたいなことを言うと、エイミーも「ガガガ」みたいな事を言い、急にバーリーはまっすぐ走り出し、エイミーたちを追い越しました。 
エイミーたちも同時にまっすぐに走り出しました。 
お互いに何か用事があるわけではありません。 
ここまで、だいたい1時間の出来事です。 
バーリーにとって「生きる」意味は如何に。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。